衆議院予算委員会(2009年05月07日)

保護者の経済状況急変に伴う学費支援策について、親のリストラで学業が続けられなくなるような事態は絶対に避けるべき。授業料免除や奨学金拡充など、より一層の弾力的な対応を強調。また、大学卒業後の就職内定取り消し事例を挙げ、来春の採用予定者を新卒者に限定する企業があることを問題視し、見直しする必要性を指摘した。

中小企業の資金繰り支援策では、特に融資対応が厳しい主要金融機関に対し、貸し出し条件緩和などの行政指導をするよう求めた。与謝野馨金融担当相は「適切かつ積極的な金融仲介機能を期待している」と述べた。

低炭素社会の実現について



赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 本日は、まず三十五分間、四月二十七日に国会に提出をされ、また、本日ようやく審議を開始することができました平成二十一年度の補正予算案につきまして、限られた時間でございますが、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の補正予算、いろいろな御意見もあるようですけれども、私たちは、その中身、三つの柱があるというふうに考えております。ちょっと小さいんですが、パネルで。
 一つは、生活を守るという意味で、地域医療の再生ですとか、介護の現場の職員の処遇改善ですとか、また子育てとか、こういった、生活を守っていくんだ、国民の暮らしを守っていくんだというのが一つの大きな柱。
 もう一つは、これは昨年の十月三十一日から断続的にやっているわけでありますが、雇用を守る。雇用を守るという中小企業の皆さんの資金繰りを最大限に応援する、また雇用調整助成金を改善して使っていただく、これは相当結果が出ているのをさらに拡充する。
 そして三つ目は、仕事をつくる。低炭素社会の実現をするとか、また、これまで我が党も取り組んでまいりました、高齢社会に対応するためのバリアフリー化のまちづくり、また、最近のゲリラ豪雨に対する災害対策、河川整備、下水道整備、こういったものが、私は、大変さまざまな分野に対して効果的な予算案が組まれているというふうに認識をしております。
 しかし、四月二十八日の、先日の本会議、野党の皆さんの意見を聞いておりますと、それぞれの施策が三年間という時限だ、三年間という限りがあって永続的ではないとか、ばらまきだとか、こういった批判があり、反対されるような質問が続いたわけでございますが、私に言わせると、そもそも補正予算というのは時限的なものであり、緊急かつやらなければいけないといったことで予算を組むわけですから、それが恒久的なものでないからといって反対するというのは、まさに反対をするための理由ではないかというふうに感じておるわけでございます。
 加えて、今まで振り返っておりましても、私たち公明党が連立与党に入ってからの十年間を見ておりましても、例えば、児童手当の大幅な拡充ですとか、あとは学校の耐震化ですとか、これも、かつて補正予算で予算化され、それが翌年以降継続化していった、いわゆる恒久的な制度化をしていった。こういうことはよくあることでありまして、これを一概に頭から、三年間の時限でしかないからとか、ばらまきだとか、無駄遣いだとかと言って反対するのは、私は、いささかどうなのかなというふうに思うわけでございます。
 まさに、大変厳しい経済状況から、日本の、我が国の経済を再生していかなければいけない、脱出しなければいけない、こう考えるときには、一番重要なことは、この補正予算を一日も早く早期成立をさせ、まさに官民挙げてこの難局に立ち向かっていくことだというふうに私は考えておるところでございます。
 今、地元を歩いておりますと、やはり高速料金の引き下げですとか定額給付金の給付、それに伴って、各商店街も、私たち神戸の市の商店街連合会も、買うと一〇%得する、こうべ買っ得商品券なんというものを出して、阪神・淡路大震災以来長らく元気がなかった商店街も、今回の二次補正予算に含まれている案で、さまざまな知恵を出して頑張ろうとする。私は、大変すばらしい施策だったと思います。
 世紀の愚策と言った政党もありましたけれども、これはとんでもない的外れな話で、今これだけ町が元気になっている政策があるということを私は高く評価するべきだというふうに思いますし、もっと早くやってもらえばよかったという声の方が圧倒的に多いですよ。ですから、そういった意味で、早期成立して難局に立ち向かうということが大事だ、これは党派を超えての共通の意識であるべきだというふうにまず申し上げておきたいのでございます。
 それでは、中身に入らせていただきます。
 仕事をつくる。今回、低炭素社会の実現ということで、エコ三本柱、ここにもあります。これは私たちが考えたフレーズでありますが、「ニッポンまるごと太陽光」、これは太陽光パネルの設置、スクール・ニューディール構想。二つ目は「ニッポンどこでもエコカー」、省エネカーに転換していこう、スクラップインセンティブを導入しようということでございます。三つ目は「ニッポンだれでも省エネ家電」、グリーン家電にかえていってもらおう、こういったことをやる。
 しかし、このことについても、ばらまきだ、こういった批判がありますが、これはとんでもない話であって、ぜひ斉藤環境大臣から、まず、この低炭素社会の実現が今なぜ必要なのかということを、斉藤さんらしく、知的に、わかりやすく、簡潔にお答えいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 ばらまきという批判がありますけれども、全く当たらない。我々が目指すべき社会をつくり出していくためにぜひ必要な予算だというふうに考えております。
 今回、太陽光、エコカー、それから省エネ家電、新しい三種の神器と呼んでおりますけれども、これらは非常に短期的に雇用や需要を創出するだけではなくて、消費を変えていく。環境に配慮した製品が売れるということで消費を変えていく、消費の変革を生み出し、消費の変革は、ではどこに投資しようか、研究開発しようかという投資の変革を生み出し、最終的に社会の変革を生み出していくものだ、このように考えております。
 したがって、今回の「ニッポンまるごと太陽光」「ニッポンどこでもエコカー」「ニッポンだれでも省エネ家電」というのは、大きくこれから日本の構造を変えていく一つのきっかけになる、このように考えております。

赤羽委員 昨年来の世界金融危機に端を発しまして、世界の経済というのは大調整が始まると思います。まさに世界的な経済分野での構造改革が始まる中で、日本も従来型の分野だけに専念しては今後の世界の経済の中で立ちおくれてしまう。今こそ国を挙げて将来につながる投資をしていくというのは、今斉藤大臣の御答弁にもあったように、私も大変重要なことであり、本当に推進をしていくべきだというふうに考えるわけでございます。
 この中に、スクール・ニューディール、午前中からも出ておりますが、聞きなれない言葉かもしれません、これをちょっと絵にしてまいりました。私、このスクール・ニューディール構想というのは、実は教育面で少し深い背景があるというふうに考えております。
 近年、教育の格差というものが指摘をされる。これは何とかしなければいけない。家庭的に裕福で、あたかも私立の学校に行かなければいい将来が描けないということであるとするならば、それは国の衰退につながる。私は、まさに公立教育の再生というものが本当に大事だというふうに考えております。
 そういった意味で、今このときに、未来につながる投資、やはりOECDの中でも、教育に係る国の予算、日本はまだまだだという統計も出ておりますので、ぜひここに注力化をしていただきたい。
 太陽光発電についても、私はよく一石四鳥の効果があると言って、党内で私は部会長ですので提案をさせていただきました。
 それは、もちろん太陽光を張るということは、そこの時点で省エネの効果がある。また、小学生、中学生から身近なところに太陽光パネルというものを見ることによって、環境教育の効果がある。三つ目は、これは阪神・淡路大震災のときもそうでした、大きな災害では学校というのは避難所になるわけです。避難所が停電をしているというのは大変被災者にとっては心細いことでありまして、そこの避難所となるべき学校で自家発電できる太陽光パネルを持っているということは、大変災害対策にもなる、三つ目の効果です。加えて、言うならば、太陽光パネルの設置という工事は地元の建築関係の皆さんにとって具体的な仕事になる。これは、未来への投資をしながら現状の危機対策にもつながる、まさに一石四鳥の効果だというふうに考えております。
 加えて、公明党が数年前からお願いをし、補正予算で予算化した耐震化も、計画どおりやりますけれども、ここで一気に進めていこうということを、一緒にあわせて工事をする。それに加えてICT化、情報通信の技術化も進めていこうと。
 私は、公立小中学校でも、よりよい、質の高い教育を受けられることをやはり目指すべきではないか、だれでも公平に良質な教育を受けられる国というのは、やはりあるべき国だというふうに思っておりますので、これはぜひ頑張っていただきたい、こう思うわけでございます。
 このICT化について、ちょっと気になる本会議でのやりとりがありました。民主党の鳩山幹事長の発言で、一台約七十万円もする電子黒板を全小中学校に購入させる必要があるのでしょうか、こういう提起でありました。加えて、コンピューターにつきましても、小中学校には既にコンピューター室があるのに、なぜ二百万台のパソコンを新たに購入させるのですかと。これは大変な無駄遣いだという批判がありました。
 しかし、パソコンについても、ここにちょっと書いてありますけれども、今は児童生徒七人に一台の割合でありまして、これは世界水準から見ても明らかにおくれているわけであります。パソコンといっても、昔入れたパソコンが経年劣化するというのは当たり前の話で、そこを批判されるというのはよくわからない。
 恐らく、電子黒板というのを御存じないんだと思います。ですから、電子黒板について、これは大変すぐれものなので、私、一校に一台というのは本当にもったいないな、文部科学省も、一クラス一台ぐらい入れていただけるようなことを目標に掲げていただきたいんですが、本会議を見ておりますと電子黒板がわからない人が多いみたいなので、ぜひ電子黒板の効用について御説明をいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 スクール・ニューディールについては、今赤羽委員がおっしゃったように、我々としても、未来への投資、そして将来の子供たちに二十一世紀にふさわしい教育環境をつくりたいということで進めているところでございます。
 そういう中で、電子黒板の質問があったわけでございますが、今おっしゃったように、なかなかすぐれものでございまして、これは二つのパネルの写真がありますが、例えば、一つのいろいろな写真とかそういうものを拡大したり縮小したり、まずはそういったことが自由にできる。要は、こういうものを自由自在に大きさを変えて、見やすくしたりできるわけですね。それからまた、下のパネルでいきますと、子供たちがこの写真にいろいろな言葉を書き込むことができる。この写真も、切り取ったりなんかして大きくできる。
 例えば、授業中によく先生が、文章を読んで、ここに線をしてみましょうとかいろいろな指示がありますが、多分、全員がそうやって正しく指示を受けてやっているとはなかなか限らないですね。ですから、見やすく、ここへ文章を書いて、ここへ線を引くんだよと一言やれば、間違いなく指示が伝わったりする。それから、新しい教材を使いたいときには、例えばこういうペーパー、これをすぐとってここへ映し出すことで、これがすぐ教材になるんですね。
 ですから、自由自在にこれが使えるということで、コンピューターのいろいろな使い方をやるより、これを使っていろいろ教えることがいかにわかりやすく子供たちに教えられるかということで、私もこれを見てびっくりしたわけでして、既に全国で一万台ぐらい普及をしておりまして、大変わかりやすい授業ができる。
 また、先生方も子供たちも、いろいろな発表のときにも楽しくできるということで大変いい結果が出ているわけでして、これをあと三万台、とにかく各校に一台ということで、できれば各教室にも目標を持っていきたいわけですが、当面、このよさをわかってもらうために各校に一台普及をして、子供たちがしっかりとまたこういった授業に親しめるようにと考えているところでございます。

授業料の免除・奨学金の拡充について



赤羽委員 今回、全教室のテレビを地デジにかえるわけですから、地デジ対応のテレビにつけ加えると、一台七十万円もせずに電子黒板化ができるというふうにも聞いておりますので、ぜひ、公立の小中学校でも本当に良質な、トップレベルの教育が受けられるような、そういった政権であっていただきたいと強く思うわけでございます。
 一方、施設整備だけではなくて、こういったニュースが出ておりました。
 最近、昨今の経済的な理由で私立高校を中退した生徒が過去最高の五百十三人に上るということでございます。また、三カ月以上学費を滞納する生徒を抱える学校も、実は私立学校の三分の二ぐらいになっているということであります。
 我が党としても、経済大国日本で、たまたま父親がリストラになったからといって子供が私立高校をやめなければいけないというのは、これはもう相当時代錯誤の話で、こんなことは何としても守っていかなければいけない、こう思い、今回の経済対策の中に、こういった親の経済的な事由で学校を中退するような状況の中で、授業料の免除、または奨学金の拡充ということで学業が続けられるような措置をぜひとるべきだと強く要求をしてきたわけでございますけれども、今回の補正予算の中、それなりの対応ができていると思いますが、ぜひ大臣から、この対策について簡潔に、そして一人もそういった学生を出さないんだという決意を伺わせていただきたいと思います。

塩谷国務大臣 文部科学省としましても、経済的理由によって生徒が学業を断念せざるを得ないというような状況を決して許してはならないと考えているところでございまして、昨年の補正予算から、また今回の予算についてもその予算を計上しているところでございますが、公立高校については授業料の減免あるいは奨学金制度、それから、私立高校が行う授業料減免の措置に対して、文部科学省が私学助成の形でその一部を補助しているところでございます。
 こういった支援策につきましては、やはりできるだけといいますか、周知徹底が重要でございまして、親、生徒に徹底してこの周知をして、都道府県がこういった対策ができるように、また報道機関あるいは我が省のホームページにも掲載しているところでございます。
 また同時に、こういった状況がある程度多年度にわたるということも考えまして、今回は多年度を視野に入れた支援策が必要であり、補正予算においては、高校の奨学金事業や私立高等学校への授業料減免措置への補助について、新たな交付金によって基金を設置して緊急支援をしているところでございまして、こういった支援を周知徹底して、一人として学業をやめることのないようにという意気込みで頑張ってまいりたいと思っております。

赤羽委員 これは各都道府県の教育委員会の制度に準じたというような御説明もございました。ですから、現状の制度で授業料の全免措置みたいなものがないとなかなかしにくいということが危惧されますので、今はこれまでの状況とは違うんだということで、ぜひ、大臣の御決意として、一人もこういったかわいそうな生徒を出さないんだ、子供の未来を大切にしていくんだという決意で、今の制度がどうあれ、全部救っていくんだ、基金創設というのはそういう思いだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。よろしいですか。
 次に、子供の未来を大切にするということの延長ではありますが、最近というか、前回の予算委員会でも取り上げました、ことし卒業した学生の就職問題でございます。
 これまで内定取り消しということが盛んに言われておりました。三月二十三日の厚生労働省の調べでは、四百四社で千八百四十五人の内定取り消しがあった。これが、最近の四月を越えたデータでは、内定取り消しは四百二十七社で二千八十三人。わかりますか、二千八十三人、二百人以上ふえているんです。三月二十四日という最後の週から四月を越えて、二百人以上の内定取り消しが出た。
 これは、総理、内定取り消しじゃないんだと思うんです。これはまさに、入社を予定されていながら取り消しになった。内定取り消しという報道をしていますけれども、これは内定取り消しではなくて入社取り消しなんですよ。
 入社取り消しに加えて、入社日の延期というのが三十八社で二百六十八名。初日からの自宅待機、五十四社で七百五十五人。ですから、入社日の延期ですとか自宅待機だとかされているのは千二十三名いる、これも報道があったとおりでございます。
 これは、私は、我が国の企業としてはいささか人を大事にしなさ過ぎるんではないか。いきなり入社待機して、給料、六カ月だからといって、いつまでも待機させてよいわけではないですね。それでよしとする社会であっていいのかどうか。入社日を延期するとか入社を取り消すなんというのは、私はまさに、これは労働契約の一方的な変更とか破棄であると思うんですね。
 これはやはり、解雇するときには解雇なりの手続を踏まなければいけない、このことは当然私は訴訟の対象になるというふうに考えておりますけれども、しかし、卒業する学生、二十二、三歳の子たちがいきなり訴訟をするというようなこともなかなか起こりにくい、容易なことじゃないわけです。これをどうしていくのか。
 私は当然、入社取り消しをしたとか、悪質な入社日の延期、自宅待機とかということについてはもっとしっかりと、該当企業に対して補償の支払いを行政指導するとか、また簡易な手続でできる労働審判を働きかけるとか、こういったことでやはり一人一人を救っていく。
 これまでも、私もここで質問をし、そういった企業の実名を公表すると。実名公表というのは、ある意味でのダメージを与えられるということで、企業がそういうことをしないという抑制効果にはつながるかもしれませんが、そういう実名公表をしながらこういった数字が出ているということは、やはりもう一段踏み込んだことをしなければいけない、私はこう思うわけでありますが、舛添厚生労働大臣、御見解をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃったように、内定取り消しとか、それから入職時期の繰り下げ、こういうことはあってはいけないことなので、私も経済団体に対してたび重なる要請を行ってきておりますし、かつ、学生から補償の要求があったときには誠意を持って対応しろということを事業主に対して繰り返し指導を行っているところであります。
 それから、ハローワークにおきまして特別の相談窓口を設けておりまして、学生さん、そこにぜひ相談に来てくださいということで、この相談に応じています。
 ただ、どうしても希望する場合に裁判所とか法テラスとか弁護士会などの情報は提供しておりますけれども、やはり裁判とか労働審判でありますと、一定の時間とお金もかかるので、なかなか、学生さんに勧めるというのも一概には正しいことではないと思いますので、そこの御判断は学生さんの御本人の判断によるべきだと思いますけれども、政府としましては、事業主に対して、あってはいけない内定取り消しであり入職時期の繰り下げだ、これはやめてくれ、撤回ということを今後とも力強く働きかけてまいりたいと思っております。

赤羽委員 やはり、その企業が倒産してしまうというような状況であるならばいざ知らず、そうでないのにこういったことをするというのは、私は、企業としてのモラルがなさ過ぎる、当然それはちゃんと正規雇用をして、それからの対応をするべきだというふうに考えますので、ぜひ、今、厚生労働大臣の御答弁どおり、一つ一つの企業、平気で悪いことをやっているところにはしっかりと行政指導をするということでお願いをしたいと思います。これが一つの話なんですね。
 実は、直前の入社取り消しというのは別の問題をはらんでいまして、昨年年末ぐらいまでの内定取り消しの学生は、その多くは再就職活動ができた。実は、再就職ができなかった方は、いろいろな大学側からの配慮もあって、卒業を一年保留して、大学五回生として新規卒業予定者ということで来年の就職活動に臨むわけであります。私はこれも変な話だな、こう思いますが、そういう現状がある。
 しかし、三月の最終週で急に入社取り消しになった二百名以上の方たちというのは、実はもう大学は卒業してしまっているんですね。既卒業者なんですよ。今大臣が言われたように、フォローしてどこかの会社に就職できればいいけれども、それができないとなると、来年の入社のための就職活動に入らなければいけない、こういうことになるわけです。
 しかし、この来年の就職活動、彼らは公平に受けられるかというと、現状はそうじゃないんですね。今、千名以上従業員がいる大手の企業の来年度の募集要項を見ていますと、その中に、約半数の企業が、来年、平成二十二年三月大学卒業見込みの者に限る、こういう新規卒業であるべきという縛りがかかっているんですよ。これはやはりちょっとおかしいと思います。
 大体、雇用対策法十条を何年か前に改正して、雇用のときに年齢制限をしてはいかぬという法改正をやっているんですよ。年齢制限をしてはいけないという就職活動に対して新規卒業条件をかけるというのは、私はそもそも脱法的な行為だと言わざるを得ない。年齢なら何歳でもいいですよと言いながら、実は来年の三月に卒業予定の者じゃなきゃだめですよというのは、年齢制限をかけた意味を骨抜きにしているとしか私は思えないんですね。
 だから、そこは、特に企業の一方的な都合で入社を取り消しになったとか、本当に気の毒な人たち、しかし、大学はもう卒業してしまっている、既卒になる、その人たちが来年の就職活動に向けて、まず大手の半数のところに門戸を閉じられるということは余りにも道理が通らない、私はこう思うわけでありますけれども、その点について大臣の御見解をお願いいたします。

舛添国務大臣 平成十九年の十月に施行しました改正雇用対策法、これの十条を今引用なさいました。ただ、個々に、この十条における年齢制限と、いわゆる新卒者のみを採るということは、法的に矛盾しないという解釈がなされております。
 実を言うと、これまでの日本の雇用、採用の慣行は、ほとんど新卒者を採る。それは、企業にとって、新卒者をずっと鍛えて自分の会社の社員として鍛え上げる、だから、働く者もそれを雇う者もその伝統でずっときたものですから、それは一定の合理性がある。なかなかこれを一気に変えるというのは難しゅうございます。
 しかし、今まさに委員が御指摘のように、内定取り消し、しかも会社がつぶれたというようなことになったときに、好むと好まざるとにかかわらず、既卒者になってしまうわけですね、一年待つということで。
 ですから、これは経団連を含め、既卒者に対しても採用の門戸を広げてくれということを何度も要請しておりますし、指針においても、そこは既卒者に開放してくれということを言っておりますので、今後、これは事業主、そして国民の皆さんのコンセンサスを得ながら、そういう方向にさらにもう一歩かじを切っていきたいというふうに思っていますので、今後とも努力はしてまいりたいと思っております。

赤羽委員 新規卒を採って、それを終身雇用で抱え込んでいたという日本のこれまでの企業のやり方というのは、それはよかった点もあると思います。それは、やはり終生抱えるという結末がないとだめなんですね。今、四十歳になって、いきなりリストラになったりするわけですよ。それをしておきながら新卒じゃなきゃだめだみたいな話というのは、私はそもそも論としておかしいと。大学を卒業して一年間留学していた人間が何でハンディを背負わなきゃいけないのかとか、全くおかしいんですよ、この新規卒業制限というのは。
 ここは、やはり政治として、特に困った学生がいるんだから、学生というか卒業者が。そこは、この事件を契機に、経済産業団体にもそれを受け入れさせる取り組みをしていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。
 この質問を、前回、二月の予算委員会で取り上げました。なぜ内定取り消しが起こるかというと、それは、今の就職活動が早期化、そして長期化するからだと。三年生のときから通っていると。私も大学の先生に聞きましたら、就職活動があるからといってゼミを休める理由になっているんですよ。こんなおかしな話ありますか。専門に進んで、三年、四年とゼミの授業に全然出ないで就職活動をやっていて、それで卒業せざるを得ない。そんな専門課程も踏まないような人たちを集めていいのか、私はこれは大変大きな問題だと思いますし、四年間の大学生活で二年間も就職活動をやらされたあげくに採用が決まらないなんていったら、そんな社会に、世の中に元気いっぱい出ていこうなんという気にならなくなると思いますよ。
 ですから、私がこのことを指摘したら、塩谷大臣は、就職協定の復活も含めて、よりよき制度のあるべきことを前向きに進めていきたい、こう御答弁いただきました。
 経済団体にも随分働きかけていただいているというのは伺っておりますが、その点について、方針と、いささかも変わらない決意であるかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 就職・採用活動については、赤羽委員が今御指摘のとおり、また前回の予算委員会でも質問があったわけでございますが、私どもとしては、生徒にはしっかりと学業を修めてもらう、一般的に最近は学力低下とかいろいろ言われているだけに、四年間すべてとは言わないまでも、少なくとも四年の夏ぐらいまでは勉強して、その後就職だというような気持ちでおるわけでございまして、この点について、私も直接経済団体と話し合いをして、これは三月でございますが、四月にはそれぞれ主要経済団体に厚生労働省とともにしっかりと申し入れをしているところでございます。
 具体的にどのようないい方策があるかというのは、まだなかなか難しいところでございますが、いずれにしましても、例えば就職活動をやるにしても、平日は企業訪問をしてはいけないとか、そういうことを最低でも決めたい。かつての就職協定ということに近づけたいと思って、その決意は変わらないわけでございまして、今後、大学側あるいは経済団体側、両者に向けて、具体的な実効性のある方策を検討していただくよう、強くまた申し入れを続けてまいりたいと考えております。

中小企業の資金繰りの支援について



赤羽委員 ぜひ、このことは文科大臣だけではなく、経済産業大臣また厚生労働大臣におかれましても、本当は麻生総理のリーダーシップでと言いたかったのですが、ちょっと今席を外されたようですので、本当に政府一丸となって取り組んでいただきたいと強く申し上げておきたいと思います。
 次に、中小企業の資金繰りの支援についてでございますが、これは、去年の十月三十一日から、緊急保証、セーフティーネット貸し付け、それぞれ大変な勢いでやっていただいて、現時点で六十二万社に十三兆円の融資が実行できたということでございます。
 まさに、現下の経済状況を考えますと、この枠を今回補正予算で大幅に拡充するということは正しい措置だと思いますし、一日も早く実現をしていただきたいというのが中小企業団体からの声でありますことをまず報告しておきたいと思いますが、一方では、地元を歩いておりますと、本当の零細、リスクの高いというか、逆に言えば本当の意味で資金が必要なところの企業ほど、やはり銀行の貸し渋りに遭っているという話がございます。
 金融庁としても、昨年十一月に金融庁のマニュアルを変えて、例えば既存の債権について、返済条件を変更してもそれを不良債権化しないということになったので、いわゆるリスケがしやすくなっていると思いますが、現状どうかというと、ここのグラフに出ております。見ていますと、信金、信組は結構一生懸命やってくれているんですね。地元の神戸の中小企業の皆さんも、やはり信金、信組が頼りだ、こう言っていただいていますけれども、メガバンク、主要行は、明らかなように、貸し出し条件緩和をほとんど行っていないんです。中小企業向けの貸出残高も、主要行、メガバンクは相当低いはずです。
 これは、大手企業がまさに直接自分たちで資金の調達ができなくなった、ですから主要行からお金を借りていく。そういった意味では、大手企業に対する貸出実績を残せば、口は悪いですけれども、主要行にとっては、中小企業へリスクの高い資金供給をすることはちゅうちょされているんだろうな、こう思うわけでありますけれども、我々は国の制度として、やはり九九・七%も産業界を支えている中小企業に、本当に今この難局を乗り越えるための資金供給をしなければいけないということをやっているわけですから、金融機関としては、当然、政府の政策に合わせて現場の企業のサポートをするのが当たり前だと思うわけであります。
 金融庁も個別の審査に入られるということでありますけれども、ぜひこの貸し出し条件の緩和と、また、緊急保証とかセーフティーネット貸し付けの返済が実は始まるころになっているんですね。ですから、この元本の返済猶予。政府系金融機関では認められていることなんですから、民間金融機関にも協力をするようにということをぜひ行政指導しながら、中には悪質な例もあるんです、三月三十一日に貸し出して四月一日に返してもらう、こんなことも実の話として聞いていますので、ここはしっかりと取り締まらなければ、金融庁の検査は意味がないと思います。その御決意と御方針を。

与謝野国務大臣 主要行においても、中小企業の経営実態や特性を踏まえたきめ細かな対応を行っていくことが重要と考えております。
 各金融機関においては、融資先企業に対する目きき能力を高め、貸し出し条件の緩和に対する取り組みを含め、適切かつ積極的な金融仲介機能を発揮していくことを期待しております。

赤羽委員 どうも、最終的に民間と民間の契約だからという一線があるという話がよく出るんですが、ここは本当に大事なことなので、金融機関は企業をサポートすることが本職なんだということの本分に立ち返って、ぜひきっちりとした検査をしていただきたい。
 最後に一点だけ、高速料金の引き下げの問題で、平日三割をやっていただいているんですが、百キロ以上になると、これが百一キロになると百キロ分も全部割引ができなくなる、これはまことに不合理なんですよ。ですから、トラック事業者なんかは全くこれの恩恵が受けられていない。九十何キロでわざわざ一回おりてやるとか、こんな、日本の行政として少し恥ずかしくないですか。この不合理を直していただきたいと強くお願いしたいんですが、どういう取り組みなんでしょうか。

金子国務大臣 プログラムがおくれている上で実現できておりませんでしたが、七月上旬から、平日三割というのも百キロを超えても実現できるようにさせていただくスケジュールで今進めております。

赤羽委員 以上で終わりにしますが、この補正予算、私は、二次補正予算と関連法案の過ちを繰り返してはいけない、こう申し上げておきたいんです。
 一月五日に提出をされたあの補正予算と関連法案が、最終的に決着のついたのは三月四日でありました。二カ月間、それも参議院に行って五十日間でたった三日しか審議しなかった。審議を重ねるべきだという主張はそれでいいと思いますが、時間だけただ過ごしていく、それはまさに国民生活不在の対応ですよ。本当にこの愚を繰り返すと国ごと沈没する危険性があるというふうに思いますので、その一点だけ最後に御決意を聞いて、よろしくお願いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今回提出させていただきました補正予算、GDP比で約三%になろうと存じます。今、国際社会の中におきましても、財政出動によって今回のこの危機をということを、各国、全部ではありませんけれども、アメリカとかイギリスとか、いろいろそういった説を述べ、日本もこれまでなかなかできませんでしたけれども、改めてここは、きちんと対応できる、日本もほかの国に対して堂々と我々もきちんとしていますということが言える状況ができ上がりつつありますので、一日も早い成立、心から願っております。

赤羽委員 以上で終わります。ありがとうございました。