衆議院予算委員会(2009年2月9日)

100年に1度といわれる経済危機にどう取り組んでいくのか、政府の姿勢を正しました

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
本日のテーマは景気対策と雇用問題、まさに国民生活にとりまして大変重要な、深刻な問題でございます。限られた三十分間という時間でございますけれども、私も現場を歩いてきた生の声をぶつけさせていただきたいと思いますので、どうか、総理大臣初め関係大臣の皆様におかれましては、決意のこもった、また具体的な答弁をお願いしたい、こう思うわけでございます。
実は通告をしていないんですが、各課題に入る前に、きょうの質問に臨んでちょっと思ったことは、今回の世界同時不況というか大変な状況の中で、まさに我々はよく百年に一度ということが言われるわけです。しかし、百年に一度と簡単に言いますけれども、百年間を振り返るといろいろなことがあったわけです。
私が生まれる前に第二次世界大戦があり、敗戦があり、まさに焼け野原になって、本当に皆、大変な状況の中から立ち上がった。私自身は、神戸ですから、十四年前の阪神・淡路大震災に遭遇いたしました。自分の住む家を失い、知り合いの多くの人を亡くし、そして本当に修羅場のようなところから、何十日もふろにも入れない、体重も一週間で十何キロやせた、そんなところから命がけでやってきたわけです。あのとき、あの地震は五百年に一度と言われていますけれども、やはり、百年に一度に立ち向かう、私は、その意気込みというか、なりふり構わない真剣さというのが今我々政治家には求められている、こう思うわけです。
その決意がはっきりあらわれない限り、国民の多くの皆さんが、これからの一年間を考えると職を失う人も出てくるでしょう、大変な中で、職を失うと簡単に言うけれども、職を失うということは、家庭もおかしくなる、自分の人生設計も全くだめになる、こういった大変なことなので、そのときに、国会議員は何なんだと。このときに、ああ、国会議員も大変だ、みんな頑張ろうという気持ちがないと、どんなさまざまな対策をとったって結局は国民の皆さんの心に届かない、私はそう思うわけです。
ですから、国会議員として何ができるのか。もう総理も言われておりますね、定数の削減だとか歳費の削減、どんどんやるべきだと思います。しかし、定数削減というのはいろいろな政党の意見もありますから、これは時間をかけてやるべきだ、これは私は否定していません。しかし、今全治三年間、こう言われている以上、今すぐできることは何か。本当に我々がやっても大変だと自分自身が思っていることは何かと、きのうつらつら考えたときに、例えば歳費だって半額にしたらどうか、それは三割だとか五割だとか何がいいかというのは、これはいろいろなことがあります。しかし、やはり、自分自身がそれをしたら大変だということをまず政治家がやってこそ、国民だって頑張ろうという気になるんじゃないか。
だから、その先頭に立っている麻生総理、そういう思いがあると思いますが、どうか、そういったことをぜひ総理のリーダーシップでまずこの場で発信をしていただきたい、こう思うわけでございますけれども、御答弁をいただきたいと思います。
麻生内閣総理大臣 百年という歴史、今言われましたとおりに、それは何といってもこの百年間を振り返れば実に多くのことが起きております。
二十世紀初頭に日露戦争に始まり、そして二十世紀の半ばに第二次世界大戦、これは敗戦ということになり、その後、石油で食っていた日本がいきなり一バレル二ドルから六ドルに三倍、どんどんどんどんやっていたら公害でばたばたという騒ぎになって、それも克服し、そして、通貨が、一挙に二百四十円から百二十円までドルが暴落などなど、これは数え上げますと、当時を振り返れば日本にとってえらい問題だったことは数々あったのが、いずれも我々は、何だかんだ言いながら、時間をかけ、きっちりそれに対策を立てて今日まで頑張ってきたんだと思っております。
おかげさまで、少なくとも石油の今回の状況、今回というのは例の七月、八月ぐらいに起きましたあの騒ぎのときも、我々はおたおたわたわたすることなく、取りつけ騒ぎが起きたりトイレットペーパーがどうたらというような騒ぎもなく、少なくとも我々はその経験則に学んでこれまでやってきた。はっきりしていると思います。したがって、そういった経験を大いに生かした。
今回の金融危機の中におきましても、欧米先進国の中で多くの投資家が資産を失いなどなど、数え上げれば切りがない話が海外の新聞やら情報を見ていると幾らでも出てくる中にあって、少なくとも日本においてはそういった金融破綻または証券業界の破綻ということもなく、これまで我々はきちんと対応できてきたというのは、これまでの経験則に日本が学んできたがゆえに、我々は、これだけの騒ぎにもかかわらず、それなりの対応ができているんだと思っております。
しかし、今置かれております状況は、それらのときの状況と違ってきた部分は、いわゆる雇用とかいう失業の問題が新たに起きてきております。それに対応するためには、何といっても企業というものは倒産させないようにするのが一番。倒産させないようにするためには、その多くを抱えておりますのは中小・小規模企業ですから、その企業の資金繰りがきちんとということが、何といってもさらにふやさないための大事なところだ、私どもはそう思いましたので、いわゆる年末の資金対策などなど、いろいろやらせていただきましたし、年を越しましてからも、今、年度末に向けてさらに対策をさせていただいております。
加えて、いろいろ、少なくとも雇用促進事業団の建てた住宅に、いきなりそれをあけて貸すなどというのはこれまでに全く例がありませんし、また、新たに、中長期的に見れば、新エネ、省エネなどというものを考えたときにおいては、そういったものに対して新たに設備投資をしていただけるところに対しては、償却を前倒しするのではなくて、即時、一年で一発償却ということを認めるなどというのも、過去全く例がないと思います。
そういった例を数えれば幾つも出てまいりますが、そういったようなことをやって、少なくとも我々は、今回世界的な同時不況、これも過去六十年間ぐらいで同時不況というのは初めてですから、この同時不況の中にあって、我々は、今回は最初に日本がこれから脱却していくんだという決意を持ってこれに臨んでいく。したがって、全治三年、そのためには全治三年間は景気対策だということを申し上げている背景がそれであります。
赤羽委員 総理、私が言いたかったのは、まず百年に一度、この百年間、さまざまなことを乗り越えてきた、その乗り越えてきたときのリーダーは、やはり国民と同苦してきた、同じ立場で、同じ気持ちでその痛みを受け入れてきた。
まさに今、百年に一度と言っている以上は、これからどんなことが起きるかわかりません。具体的には、今総理言われたように、緊急経済対策にしても雇用対策にしても、さまざまとっているというのは与党の一員ですからよくわかっています。しかし、その前提として、隗より始めよ、まず本当に、国民が見て、国会議員だって大変なんだな、こういったことが大事だと私は言っているんです。それがないと、いろいろなことをやったって、結局、国会議員は何だ、歳費は人より取っていて痛みがないじゃないかと。上から目線じゃだめだということを私は言いたいんです。
これまで成功してきた日本のその時代その時代のリーダーは、上から目線じゃなくて、やはり命がけで闘ってきたんだろうと。その決意を、そこの部分だけ総理に御披瀝いただきたいという質問なんです。
麻生内閣総理大臣 これは、一月の私ども自由民主党の党大会でも一部披瀝をさせていただきましたけれども、きちんとした対応というものは、歳費の部分にしても、またいわゆる議席の数にしても、これは我々としてきちんとすべきではないかという案を、あのとき、自分の決意の一端なり気持ちの一端として披瀝をいたしております。
ただ、これは国会の中で論議をしていただかなければならぬ部分なんであって、こちらの思いだけでなかなかさようなわけにはまいりません。したがいまして、私どもとしては、いろいろな機会をとらえてこういった問題を今後議論していただくというのは大事なことだ、私どももそう思います。
赤羽先生の御意見というのは全くそのとおりなんであって、今話題になっておりますアメリカでも、政府から資金をもらった証券会社、銀行などの給与、ボーナスがそのままというのはいかがなものかというオバマという人の意見が出ていましたけれども、あれは一つの例です。ほかにももっとあるんだと思いますが、そういったものはやはり経営者とか政治家とかいう立場にいる人間にとっての姿勢として極めて大事なものだ、私もそう思います。
赤羽委員 繰り返しになって恐縮ですけれども、本当にこれからの大波を乗り越えるために、やはり先頭に立って、ノーブレスオブリージュですから、政治家が先頭に立ってその痛みに直面していくということをぜひひとつ総理のリーダーシップとして発揮していただきたい。よろしくお願いをしたいと思います。
その観点からいきますと、まさに今は、第二次補正予算は成立しました、しかし、関連法案が参議院でようやくきょうから審議が始まるというのは、さまざまな党の言い分はあるかもしれませんが、私は、それは本当に政治の勝手だと思います。国民にとってみれば、本当に今どうなるんだと。いろいろな立場でいろいろなことを言う。きのうのNHKの討論会を見ましたよ。第二次補正の予算の出し方が遅かったと。遅かったというのは言い分かもしれないけれども、しかし、出た以上は、一月五日からやっているんですから、何で一月もたって、いまだに関連法案で出口が見えないなんという。
その一方で、悪いけれども、一月六日の衆議院本会議で、民主党の鳩山幹事長は、「自民党、公明党の皆さん、失業者にとっての一日は長く、中小零細企業にとって一日の空白が命取りになっていることは、皆さんだっておわかりのはずです。」、こう言われているんですよ。そう言っているんだから……(発言する者あり)文句を言うな。私は、だからこそ早く決着をつけるべきだと思いますが、総理、どうですか。いかがでしょう。
麻生内閣総理大臣 我々は、既に結論は得たんだと思っております。第二次補正予算は衆参で可決をされておりますから、可決をされております以上は速やかにそれを実行できるようにすべき、それが当然なんだと思います。それが結果として雇用問題につながり、失業問題につながっていくのであって、その文章を見るまでもなく、当たり前のことなんだと思いますので、きょうから審議、なかなか御事情がおありなんだとは思いますけれども、国民の立場に立ったら、何とも言えず理解がしがたいところだ、私はそう思います。
赤羽委員 もう一言言えば、定額給付金の問題で審議を進めなかったなんというのは、私は言いわけだと思うし、庶民の暮らしがわからな過ぎると思いますよ。
私は一軒一軒回りましたよ。(発言する者あり)聞いてください。静かにさせてください。いいですか。一軒一軒、国民の生活が第一と言うなら、庶民の暮らしがどうかというのをわかってほしいと思いますよ。それは、一軒一軒行く。多くの主婦の皆さんはどんな買い物をしているかというと、スーパーマーケットには夕方六時以降に行っているんですよ。生鮮品が三割引、五割引になっている、そこから買い物に行っているんですよ。給料は上がらない、年金は上がらない、しかし、食料品を中心とした生活用品が上がっている。結局、どの家庭でも使える金額が少なくなっているんですよ。
これは世界じゅう一緒ですよ。だから、世界じゅう大減税をやっているんじゃないですか。それを、我々は定額減税をやるべきだと言った。しかし、非課税世帯もあわせてということで定額給付金という、皆さんから以前納めていただいた特別会計の中で、金利変動の分でためていた分を皆さんに使っていただこう、消費の下支えをしていただこうということですから、何がこれが悪いんですか。
私は、それを、そんなことしなくていいんだ、ほかに回せみたいな言い方とか、それを削っている……(発言する者あり)世論というのは、調査の仕方で幾らでも出るんだよ。我々、歩いている限り、百人を前に話していて、七割、八割が反対なんていう会場はどこにもありませんよ。どこだって、いつもらえるのか、どうなったんだ、何で早く出ないんだ、こういうことですよ。
我々は、少しおくれたお年玉として、ささやかな戻し減税をしたかったわけでしょう。それが全然できないということは、いまだにそれを理由にもしこの関連法案を通さないなんというのは、私はけしからぬと思いますよ。総理の言うとおりだと。同じですね、その意見。どうでしょうか。
〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
麻生内閣総理大臣 きのうも、福井県という北陸の地方を一部回らせていただきました。そこにおいて、現場のいわゆる商工業者の方々、また商店街の方々、もちろん市長さん初め商工会議所、いろいろ出てこられて個別にいろいろお話をいただきましたけれども、赤羽先生の言っておられる話とほぼ同じだ、私もそう思います。
赤羽委員 それでは次に、雇用の問題にちょっと移らせていただきたいと思います。
これは、一昨日だったかと思いますが、NHKのスペシャル番組で報道されていましたが、デンマークの事例が言われていました。デンマークは、結構離職という場面がたくさんある、終身雇用なんという制度はございませんので。しかし、離職した人が不安感を持っているかというと、全然不安感がないというんですね。それはなぜかというと、失業給付が現役の所得の九割保障される、それも四年間。しかし、それはただし条件がありまして、国が指定している三百の業種の資格を取るとか訓練をする、それをしっかりやったら九割の保険を出す、また四年間出す。こういったことがあるから安心なんですというふうにデンマークの方たちは言っていました。
まさに、日本とちょっと状況が違いますから、私は思うんですが、この雇用問題というのはどこまで行っても、正規であろうと非正規であろうと、さまざまな形態があると思いますが、やはり大前提としては、安易に首は切らない、企業として抱えていく、大事にする、これが大前提です。二つ目は、万が一、離職、リストラになったとしても、そのセーフティーネットを厚く張る。そして同時に、三つ目は、再就職できるような、ステップを変えるようなことをしっかり充実させていく。やはりどこまで行ってもこの三つがあればいいということだ、こう思います。
それで、まず、派遣切りの問題に移りたいと思います。(パネルを示す)
これは、よくわかっている方ばかりだと思いますが、テレビを見ていると、いろいろ、わからないという方も多いので、簡単に言います。
一番下の派遣労働者、派遣される人がいる。その派遣元、派遣会社と契約をする。これはまず有期労働契約ということで法的な力がかかる。しかし、この派遣会社と派遣先の企業との契約は、これは民間の民事契約、労働者派遣契約というよりも企業間の契約だ、民民の契約だ。だから、今は法的な力は及ばない、指針で書かれてあるだけ、こういう現状です。
ビジネスの世界ですから、本当は何百人必要だったんだけれども、事業の発注が少なくなったからといって派遣先と派遣元の民事契約が切れる。切れると何が起こるかというと、切れたことによって派遣会社と派遣労働者の間の労働契約にも必ず影響するわけです。今は、ペナルティーというか、三十日前の通告で三十日間分の給料を払えば基本的には合法となっているんです。
しかし、私は、ここはつらつら考えると、派遣元と派遣先の企業の間の契約が中途解除されたときに、その被害をこうむる、不利益をこうむるのは、その契約の当事者じゃなくて派遣されている当人が被害をこうむるというのは、私はやはりこれはおかしいと思いますよ。いろいろな言い方もあるし、いろいろな法案も、閣法も出ているし対案も出ているのかもしれないが、私は、そこの部分を直さない限り、結局そこは、大臣、いろいろなことがあるかもしれないが、派遣先と派遣元のそれぞれの契約の当事者のやはり責任というのを明確にするべきだ、これが第一点。
そして、二つ目は、派遣元、派遣会社というのは、いざ何かというときには当然派遣労働者に対する責任を負わなきゃいけないんだから、その派遣会社がいいかげんなところじゃ困るわけですね。資産もないようなところじゃ困るわけです。そこについての、派遣会社という業を起こせるだけの水準というか基準をやはり明確にしてあげるべきだ。
この二点について、結論的じゃなくてもいいけれども、大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。
舛添国務大臣 労働者の雇用の維持について、まず第一義的には派遣元がしっかりしないといけない。だから、派遣先との契約が切れても派遣元が次の就職先にあっせんすればいいわけですから、これがまず第一なんです。
そして、私企業間の契約ですから、なかなかこれは公的な介入ができませんけれども、ただ、今委員がおっしゃったような派遣先の責任はどうなるのかね、そういうようなことの問題も含めて、これは与党のPTで今こういうことを御議論いただいているので、その行方も見守りつつ、いかにして労働者の権利を守るかということは考えないといけない。
派遣先に対しても、安易に首を切ることはやらないでくださいとか、中途解除はやらないでください、契約の解除はそう安易にやらないでください、そして、やる場合には再就職先のあっせんも協力してください、こういう指導を行っているところでございます。
〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
赤羽委員 大臣、ありがとうございます。
思いはこもっているんだと思うんだけれども、私、一点だけ気になっていて、厚労省の役人と話していて、民民の契約には民事介入できない、これは当たり前なんですよ。しかし、それは法律家の世界だというんですよ、私に言わせれば。民事介入できないがゆえに困っている方たちがいるということは、やはり政治家としての決断というのが絶対必要なんですよ。そんなの、それがなかったら別に、全部弁護士とか法律家にやってもらえばいいわけでしょう。そういう話じゃないんだと思うんですよ。
これからの経済見通しをすると、やはり需要というのはなかなか出てきにくいから、派遣元の責任を明確にするというのは大事だけれども、もちろん大事なんです、だけれども、なかなかそう簡単じゃないと思うんですよ。そうなると、僕は、雇用の流動性を低くしようというんじゃないんですよ。派遣という形態を全部切れとかということになると、結局は自分たちの首を絞めることになるという前提で話しているんだが、しかし、契約をした以上、中途解除というのは何らかの制度改善が究極的には求められる、それはやはり大臣の決断だと私は思います。
ちょっとその部分だけ、今ここでどうというんじゃないんだけれども、思いだけ答えてください。
舛添国務大臣 派遣先も、たとえ派遣元から派遣された労働者であれ、その人たちの労働の上に成果が上がっているわけですから、例えば中途解除というのをやるときには責任の一端を負うべきだ。どういう形で負わせるか、これは法理論上もいろいろ難しい問題がございます。ぜひ与党のPTでしっかりとした御議論をいただきたい、私はそういうふうに思っております。
赤羽委員 与党のPT、私もメンバーですので、必ずそこに踏み込んだ結論を導きたいと思いますので、そのときはぜひ呼吸を合わせていただきたいと強くお願いしておきます。
次に、私、この問題でやはり問題だと思うのは、高校生、大学生の新卒に対する内定取り消しの問題。これは、千二百十五人ですか、ちょっとこの数字もあいまいなんだけれども、千二百十五人に対する、今どうなっているんですか。私、大変心配しているんです。
それはなぜかというと、やはり日本というのは今、新卒主義なんですね。去年卒業しましたという人は、もう実質的には相当ハンディを背負わされるわけです。だから、私、本当に不思議だと思うのは、就職が決まらなかったら留年するわけでしょう。こんなおかしな話なんですよ。大学の履修が終わっているのにわざと二単位だけ残して、就職のために留年するなんて世界に日本しかないですよ。本当にこれはおかしいんですよ。新卒至上主義だから、氷河期に当たっちゃうと、その世代というのは若年フリーターになる可能性が強いんですよ。だから、最近、高学歴のフリーターの人がふえているんですよ。
これは根本的に変えなきゃいけないんだけれども、まず直近の話は、もう二月だから、三月三十一日までに、この千二百名以上の内定取り消しされた方というのはどうするつもりなのか、どうなっているのかということを、現状の御報告を大臣からいただけますか。
舛添国務大臣 最高裁判所の判決にもありますように、内定の取り消し、これは違法であります。そのことをきっちり私ももう経済団体には何度も申し上げて、しかるべき、まず内定取り消しをしないでください、やむを得ない場合には再就職先のあっせんその他の努力をしてくださいと。そして今、余りに悪質なケースの場合には企業名を公表する、そういう形で、全力を挙げてこの内定取り消しをやらせないように努力をしているところでございます。
赤羽委員 それはぜひフォローしてあげてほしい。それは、国がそんなことできないというんじゃなくて、やはり千二百人は責任を持ってやっていただきたいということを強く求めるのと、内定取り消しというのは、あいまいなことを言うんですよ、内々定だったとか。今やっている内定取り消し、つぶれた会社はしようがないけれども、内定取り消しを撤回しろと具体的にやった方がいいと思いますよ。
内定取り消しはけしからぬでしょう。だって、契約の一方的破棄ですよ。何にも懲罰を受けない。受けられた新卒の学生さんたちは、生涯、人生のスタートにつまずいてしまうわけでしょう。何か、どうなったんでしょうねみたいな厚生労働省のレクを聞くと、本当に歯がゆいんですよ。どうなっているんだ、自分の子供がそうだったらどうなっているか真剣に考えてくれと。
内定取り消しをした会社には、大臣みずから呼びつけて、どうなっているんだと、それをやるべきだと思いますけれども、いかがですか。
舛添国務大臣 経済団体全体に対して厳しく指導をしているところでありますし、先ほど申し上げましたように、余りに悪質なところは公表するという形で、さらに指導を強めていきたいと思っております。
赤羽委員 役所というのは、余りに悪質だったらと言うんですね。これは物すごい、いろいろな理屈がつくんですよ。それは資本主義の社会の企業ですから、採用できなくなったといえば、それがやはりやむを得ざる理由かどうかというと、何とも言えない。
僕が言っているのはそうじゃなくて、大臣じゃなくてもいいですよ、副大臣もいるんだし政務官もいるんだから、内定取り消しをした会社なんて二百事業者ぐらいでしょう、全部説明に来い、やはりそこからやらないとだめだと思います。私はそれは、大臣が今言った、内定取り消しは違法だというんだったら、それを所管している厚労省としてそのぐらいやって当然だと思います。どうですか。
舛添国務大臣 個々の企業に対してどこまで具体的に指導できるか、これは今の委員の御意見も賜った上で、しっかり考慮して、さらに一歩進めることができるかどうか、前向きに検討したいと思います。
赤羽委員 舛添さん、ぜひ、舛添さんが大臣になられた意味というのは、従来型の大臣じゃなくて、はっきり物を言うんだから。
舛添さん、失礼だけれども、舛添さんがそんな答弁をしていたら残念ですよ、皆さん。舛添さんだからこそしっかり答弁できないはずないので、もう一度言ってください。
舛添国務大臣 しっかりやりたいという決意はありますけれども、例えばこの企業名の公表なんかについても、労働分野は労使が入った労働審議会できっちりと議論をしていただかないといけないので、私が一人で勝手にというわけにはいきません。
ですから、そういうさまざまな審議会の御意見も賜りながら、そこにかけないと、例えば企業の公表は決めることができないんです。そういうプロセスをしっかりと尊重しながら、しかし、しかるべきときに政治的なリーダーシップを発揮したいと思っています。
赤羽委員 私の言い方が多少というか相当乱暴だったかもしれないけれども、しかし、やはり一人の人生を大事にするということは政治の原点だと思いますよ。それを、いいかげんなことをやっていて、その企業が内定取り消しなんてけしからぬです、私に言わせれば。何なんだと。
だから、僕が言いたいのは、今、就職協定は平成八年からなくなっているんですよ。我々のころは、十月一日解禁、十一月一日で内定が出された。当時は、青田買いがだめだと言われた。ところが、今はどうですか。大学三年生の春休みになる前から行くわけですよ。理科系にしようか文科系にしようか迷って、大学に入った。教養が終わった瞬間の冬休みから、二年生の冬休みから、就職カードが送られてくる、求職カードが送られてくる。三年生になったら、入学時にしかきちっと着なかったスーツを着て就職活動をやるわけですよ。
それで、三年の夏に決まっていれば、実際に入社するまで一年半かかるんだから、当然、経済変動リスクがあって、内定取り消しなんてまだまだ出てきますよ。私、大学四年間のうち二年間も就職活動をさせるということ自体、極めて異常だと思います。
だから、これは、労使協定を絶対もう一回復活させるべきですよ。そこを明確にしないで、自主ルールだとか言っておいて、結局内定取り消しみたいなことをやり、そこについて何の法的な措置もできないというのは、私はどう考えてもおかしい。就職協定の復活を目指していただきたい。
これは、時間もないからあれだけれども、では塩谷大臣、最後の答弁ですから、気合いを入れて決意のほどを示してください。私はそれで終わります。
衛藤委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
塩谷国務大臣 就職協定、平成八年から行われていない。学生にとっては、本来の学業の時間をしっかりとって、その後、就職ということで、また協定ができるような状況を私も基本的にはつくりたいと思っておりますので、またよろしくお願いします。
赤羽委員 どうもありがとうございました。